利休庵よりご挨拶
庵主挨拶
一服のお抹茶を点て、ひとり静かに味わう。
風に薫る木立と、下草の露を心に迎える。
黒楽茶碗と抹茶の緑、木々の葉の碧が響きあう。
ほんの一瞬、七色の光が、まぶしく輝く。
お茶をお出しする、その方の喜びが私の喜びを倍にします。
人と人が相和し、相愛し、慈しみ睦み合うその「なかだち」として「茶」があります。
茶の湯は茶事のことです。利休庵では、茶事の料理・懐石を楽しみます。
懐石には、料理の出し方、いただき方に、主・客それぞれに一定の順序と作法に、約束があります。懐石を通して、箸の使い方、食べ方が、自然に身につきます。
精進料理の浄味には、心身の健やかさを保つ知恵と訳があります。夜咄の燭台の灯、鳥達が時を告げる暁の茶事、朝陽が照り返し光溢れだす清々しい朝茶事、木立を時がゆらぎながら移ろう蔵王の山居(さんきょ)・利休庵にて精進茶懐石をお楽しみ下さい。一服のお抹茶に、何かほっと安心し、癒されるでしょう。風が語りかけてくるものに耳をすまし、心を解き放つ、心から何やら有難さがふつふつと湧きあがります。
料理長挨拶
あっという間に五十数年が過ぎました。
いつまでも飲食求道を杖に歩みたいと思います。
略歴
昭和42年 | 仙台・割烹松竹に料理の修業に入る 以来、京料理勉強の為、京都、東山、京大和をはじめとし、 京都ロイヤルホテル、祇園名店で働く 大本山天龍寺にて精進料理を学ぶ |
平成 元年 | 仙台国際ホテル日本料理調理部長就任 |
平成16年 | 同定年退職 |
平成23年 | NPO法人認証「料理寺子屋一滴」・理事長就任、プロ調理師対象に月2回、 年24回の座学を開いている |
平成26年 | 精進料理専門店「雪月花利休庵」料理長 趣味は家庭菜園、茶道及び茶道具鑑賞 |
平成29年 | 2017年度の厚生労働大臣表彰「現代の名工」に選ばれる |
ユネスコ無形文化遺産
「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
精進料理はそのひとつです。一方「茶」は日本文化の中心を為していると思います。
日本人の気質・自然に対する敬意にもとづいた「食」文化が文化遺産に登録されたのは理由があります。
- 多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
- 一汁三菜を基本とし、「うま味」を上手に使用し、動物性脂肪の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っている。
- 食事の場で自然の美、四季の移ろいを表現、季節に合った調度品や器を利用し、季節感を楽しんでいる。
- 年中行事と密接に関わって育まれ、自然の恵みである「食」を分け合い「食」の時間を共にする事で家族・地域の精神的繋がりを強くしてきた。
利休庵は、精進茶懐石を通じて、日本人の原点である食文化を守り、育て、繋いでゆく目的で・箸の使い方食作法・生活文化を知り、実践できる場を、皆様に、提供します。